犬が歩いているだけで嬉しい

この数日間珍しく残業が続き、寝る時間も遅かったため、寝て起きてを繰り返していたら13時になっていた。外はいい天気。明日もお休みだから今日1日は捨ててもいいんだけど、とりあえず自転車の掃除をすることにした。外に出ると紛れもなく春の空気だ!対世界への無償の愛が湧き、内側に満ちる。外気があたたかいだけでこんなにも楽に充足感が得られる。えらいもんだわ。タイヤに空気を入れる。チェーンについた汚れをクリーナーで洗う。毎度ものすごい汚れだ。全部分解して洗いたい。自転車の洗車場みたいなのないのかな。いやでも、高圧洗浄機にかけたら歪んで壊れるのかな。考えつつ、無心で作業を進め、最後に油的なものを注して終わり。よしよしだ。

せっかくなので着替えて街へ出ることにした。自転車が甘い空気のなかをズイズイと走ってくれ、健気で愛おしい。車にはない自転車のメリットは散歩中の犬を直で見られることだと思う。犬が歩いているだけで嬉しい。わたしのしあわせは安上がりで助かる。今日はお餅みたいなフレンチブルドッグが不器用な四足歩行でどたどたと楽しそうに歩いているのを見てグッときた。あなたも暖かくて散歩が嬉しいのですよね。わかります。

本屋さんをうろうろした後、ウインドウショッピング。わたしは、服を買うのが分からないので、時々(今日こそは買う…!)という気持ちを確かに持って品を見る訓練をしている。買いの眼差しを持つ意識が大事。結局なにも買えなかった。靴下屋の3足1,000円のセット売りが300円くらい値上げしていてカーッ!!!庶民が選ぶ余地は、着々と削られていく。

デパ地下的なものを見て何かを探すけどやはり何も買えずに帰る。デパ地下はどのぐらいの人が背伸びをせずに通っているのだろう。都会っぽさや、豊かさの指標のような感じがして、デパ地下登場から数十年経っているのにまだ少し気が引ける。背景にわたしは余裕がありますので…というような暗示めいたものを感じてしまう。これは貧乏とがりなのかもしれない。よくないな。暗示でも、それが目標となって人を導くこともあるよな。ちょっとだけいいものに手が届くことは、気持ちがいいとわたしも知っている。わたしにとってその部分を担っているのは無印良品だな。いまだに無印で買い物をするのが嬉しい。無印で大袋のぶどうのクッキーを買うのが、豊かさの象徴である。いつかデパ地下で憧れの量り売りのサラダを買いたい。帰りは満月が家まで追いかけてきて愉快。(20230306)